製造業で起こるヒヤリハットの原因
重機を扱う製造業の現場では、工場内の機器・設備の使用や運搬作業でヒヤリハットが発生します。中でも特に「はさまれ・巻き込まれ」の事例が多く、機械によっての「墜落・転落」の事例は大きな事故につながりやすいという特徴があります。製造業でヒヤリハットが発生する原因は主に、以下の人的な要因と環境の要因の2つに分かれます。
人的な要因
人的な要因には、疲労や情報伝達不足が挙げられます。
寝不足や体調不良のまま作業をすることで、注意不足になってミスも多くなります。作業に集中できず機械に巻き込まれるなど、疲労から重大事故につながりかりかねません。
社内の情報伝達不足も人的な要因の1つです。マニュアルの改訂や作業手順などの情報が作業者に行き届かず、誤操作してしまって事故につながる可能性もあります。
環境の要因
環境の要因としては、設備の点検不足が挙げられます。機器のチェックリストを「いつものことだ」と過信してつけるなど、日々の点検業務が手を抜きがちになることもあるでしょう。少しでも懸念がある場合はメンテナンスを行いましょう。
ヒヤリハットとは?
ヒヤリハットとは、大事故や災害につながる一歩手前の出来事のことです。思いがけない出来事に「ヒヤリ」としたり、事故寸前のミスに「ハッ」としたりすることが名前の由来です。大型機械を扱うことが多い製造業では、ヒヤリハットから大事故につながる可能性が多いにあります。当たり前なことだと思われがちなことですが、実はアメリカの損害保険会社に勤めていた安全技師のハーバード・ウィリアム・ハインリッヒという方が5,000件以上の労働災害を分析して、「1件の重大な事故の背後には、29件の軽傷と300件の怪我に繋がる事故(ヒヤリハット)が起きている」という法則を見つけ1931年に本にまとめて提唱しており、現在に至るまで労働教訓として知られています。これは、大事故の発生を防ぐためには、日常的に起こるヒヤリハットを把握し、対策を立てて再発を防止することが必要であることを示しています。
製造業で起こるヒヤリハットの事例
製造業の現場では、工場内の機器・設備の使用や運搬作業でヒヤリハットが発生します。中でも特に「はさまれ・巻き込まれ」の事例が多く、機械によっての「墜落・転落」の事例は大きな事故につながりやすいという特徴があります。
転倒の事例
製造業での転倒の事例は、主に重い荷物や大きい荷物を運搬中に起こることが多く、以下のような事例があります。複数人の作業ではお互いに作業者で声かけ・気配りをすることで対策できます。また、台車などの運搬用具を使用した作業では、ストッパー付きの台車を用いるなど安全に作業できるよう対策をしましょう。
従業員2人で鉄板を運搬中に足がもつれて転倒しそうになる
台車に積んだの荷物の荷下ろし作業中、足を台車の上に乗せてしまい、台車が動いて転倒しそうになる
墜落・転落の事例
製造業や工場の墜落・転落の事例は、フォークリフトを使用する作業中や高所からの荷卸し作業中に起こることが多いです。フォークリフトの運転者は指差確認による安全確認や声かけを必須にする、高所での作業では安全帯を使用するといった対策が考えられます。
暗所で点検中に階段に気づかずに転落しそうになる
フォークリフトのパレットに荷物を積み下ろし作業中に、フォークリフトがバックしたことに気づかず2.5メートルの高さから転落しそうになる
飛来・落下の事例
製造業での飛来や落下の事例には以下のような事例があります。主に、高所からの落下物に当たりそうになる事例が多いです。高さの制限をする、運搬物の重量と運搬機械の能力を確認してから作業を行うなどの対策が考えられます。
ボール盤で作業中に霧粉が飛び、目に入りそうになる
フレコンバックの繊維ベルトが切れてフレコンバックが落下する
フォークリフトで移動させていた4段積みの金属パレットの4段目が急ブレーキにより落下する
はさまれ・巻き込まれの事例
製造業でのはさまれ、巻き込まれの事例は動力機械を扱っているときに多く、以下のようなケースがあります。異物の除去や機械の調整の時には、機械の電源を切って停止させてから作業することが良いです。
プレス機が上昇している時に物を取り出すところを、下降中に取り出そうとして手がはさまれそうになる
ボール盤で金属の穴あけ作業をしている時に、金属についた異物を取り除こうとしてドリルに手袋が巻き込まれそうになる
切れ・こすれの事例
製造業での切れ・こすれの事例は、カッターやスライサーなど刃がついた電動工具を使用する場合に多くなります。主に疲労などによる注意不足が原因のため、刃を扱う機械のチェックリストを厳重に確認したり、集中して作業に当たるといった対策が必要です。
回転カッターの刃を交換する際に、替え刃を手で掴んでしまった
電動ノコを使用して木材の加工中に、補助の木材を使用して捲くところを手で押してしまい手が歯に接触しそうになる
効率よくヒヤリハットを把握するためには?
ヒヤリハットに関する法律はありませんが、労働災害の防止のため、各社で独自にヒヤリハットに関する報告書の作成や情報共有に取り組んでいます。そのため、報告書の書式や保管期間、承認ルート、共有方法はそれぞれの企業で差があります。このような背景がヒヤリハットの把握に取り組む際にどのように対応をしていいのかわからなくしまっています。ヒヤリハットを把握する目的は、内容を報告書にまとめて提出することではなく、再発を回避して労働災害を未然に防ぐことです。そのためには、要点を押さえて簡潔に書き、関係者の間でしっかりと共有されることが重要です。共有するための製造業での報告書の書き方のポイントは以下の5つです。
速やかに記載する
ヒヤリハットの体験をしたら、早急に報告書を作成しましょう。時間が経つと記憶があいまいになってしまいます。状況を共有するには、その場の設備・環境や作業手順をできるだけ具体的に記載することが重要です。どの機械を使用しどのような作業手順だったのかがあやふやな状態で記載をすると、原因や対策を考えることも難しくなるでしょう。すぐに報告書を作成できない場合は、メモに記録を残しておきましょう。
客観的な視点で書く
ヒヤリハットの報告書は、報告者の主観や私情の記載を避け客観的な事実を書きましょう。原因や改善案を考えるためには、客観的な情報が大事です。ヒヤリハットの原因は1つとは限りません。当時の状況を記載し、多方面から分析できるようにしましょう。ヒヤリハットの報告書はミスや責任追求のための報告書ではないため、起きたことや行動したことを全て記載すると良いでしょう。
5W1Hを書く
ヒヤリハットの報告書には、必ず5W1Hを記載します。5W1Hとは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何をしたか)、Why(原因)、How(改善案)のそれぞれの頭文字のことを指します。
分かりやすく簡単な文章で書く
ヒヤリハットの報告書に書く文章は、誰が見ても分かりやすく簡単な文章にしましょう。他部署の社員が見たり、社外の第三者が見る場合もあります。業界で使う専門用語や難しい言葉は避けましょう。
使用した機械・工具と作業手順を記載する
機械設備のヒヤリハットの主な原因は「マニュアルに記載されている作業手順を誤った」や「マニュアルの作業手順が更新されていなかった」、「そもそも機械が不良を起こしておりメンテナンスが必要だった」など、手順や工具に関することがほとんどです。ヒヤリハットの報告書の内容には、原因が何であるか判断するため、機械や工具の名称、作業順序を記載しましょう。
ヒヤリハット報告を定着させるためには?
作業管理者にとっての最大の悩みは、ヒヤリハットの内容報告の重要性は理解されているものの、製造業の現場ではヒヤリハットは日常的に起こるため、それらを毎回紙に文章を記載して責任者とやりとりをすることに時間がかかり、面倒と思う現場作業者が多かったり、報告内容により責任を感じてしまう、叱責されるかもしれないと不安を持つ現場作業者もたりと、報告業務自体がなかなか定着しないことです。
作成に手間取らないテンプレートを使用する
業務時間内に報告書作成の時間を作る
共有しやすい環境を用意する
ヒヤリハット報告を定着させるには作業管理者の方々はこれらを意識して、現場作業者の方々がスムーズに報告を行える環境を準備することが重要です。
オペトラなら全て解決
上述の通り、製造業のヒヤリハットの報告書提出を定着させるためには、現場作業者の負担を軽減することが重要です。デジタルツールを利用することで、作業員の報告書作成から提出のやり取りを効率化し、管理者の業務工数を大幅に削減することができます。オペトラはまさにそういった管理者と現場のニーズに対応するために製品開発されました。
ヒヤリハットのテンプレートがすでに用意されている
様々なケースのヒヤリハットのテンプレートをオペトラは用意しています。また、テンプレートの文章を更新することで、すべての現場にヒヤリハット事項共有時に最新情報を届けることができるので意識醸成を行うことが可能です。
ツールを使うための学習コストが圧倒的に低い
オペトラは誰でも簡単に使えることを念頭に製品設計しています。インターフェイスに極力無駄なボタンや機能を設置しないようにしているので、必要な報告内容に必要な入力だけするようになっています。
どのデバイスからでもすぐに利用可能
タブレットでもスマホでもアプリのインストールなしで利用可能です。必要なのはメールアドレスだけです。
まとめ
製造業のヒヤリハットの報告書は、ヒヤリハットの原因と対策案を記載して再発を防止するために作成します。ヒヤリハットの報告が定着化すれば、社内で頻度が高い事例を共有して対策を立てることができ、労働災害も未然に防ぐことができます。当社では、現場作業者の報告書作成業務や管理者の確認作業の負担を軽減する業務改善ツール「オトペラ」を提供しています。ヒヤリハットの報告書のやり取りや管理業務の改善を検討されている方は、お気軽にご相談ください。